3月場所は「マイペース稽古」の御嶽海が有利? コロナ禍で力士全員が実戦不足の異常事態
異様な本場所である。
■250人以上が感染
1月場所後、相撲協会では親方や力士を含めた250人以上が新型コロナに感染。横綱照ノ富士をはじめ、関取衆にも感染が広がり、2月の合同稽古は中止となった。いまだ禁止中の出稽古は当然、部屋内での稽古すら満足に行えないありさま。
13日初日の3月場所(大阪)に向けて、「十分な稽古ができた」と胸を張れる力士は皆無だろう。
照ノ富士の所属する伊勢ケ浜部屋は関取だけで6人おり、出稽古や合同稽古に頼る必要がないのが強みだった。しかし、部屋内で感染者が出たとあれば、関取同士の申し合いが減り、せっかくのメリットも生かせなくなる。
そんな中、角界では「新大関の御嶽海(29)が有利ではないか」という声が出ている。親方のひとりはその根拠を次のように語る。
「御嶽海も今回、新型コロナに感染して入院。1月場所で172キロあった体重は165キロを下回った。感染していない力士に比べると、稽古不足は明らかです。ただ、御嶽海には長年『マイペース稽古』を続けてきた経験がある。周囲から見れば物足りなく映っても、本人なりに効率のいい稽古を積み重ね、結果的に大きなケガもせずに来た。もともと所属する出羽海部屋には御嶽海以外の関取がおらず、しかも2020年3月場所以降は出稽古すら禁止になった。つまり、他の力士が悩む稽古不足・実戦不足は、御嶽海にとって日常のようなもの。それで大関に昇進したわけですから」
御嶽海は20年3月場所で三役に上がると、以降は一度も平幕に落ちずに地位をキープ。先場所は3度目の優勝を果たし、ついに大関へと昇進した。
06年5月場所の白鵬(現間垣親方)以来となる、史上9人目の新大関Vへの期待大だ。