大坂なおみの稼ぎは女性アスリート最高額 では「年収68億円」の本当の価値は?
先駆者のスザンヌ・ランランはコルセットを外し、素足を見せて紳士淑女を驚かせ、喜ばせた。男子もジョン・マッケンローがそうだったように、最近ではニック・キリオスの極め付きの“悪童ぶり”は愛される。シャラポワやセリーナなき今、女子テニスで話題を提供する大坂なおみ……それが68億円の価値である。日本の常識からはこの辺の理解が難しいが、実は日本も同じだった。
我が国に最初に女子ツアーを持ち込んだのは、日本テニス協会ではなくナット・キング・コールら外タレを招聘した青山音楽事務所(旧)だった。ちなみにペレの引退興行で旧国立競技場の動員記録を作り、マラドーナを連れてきたのも青山で、そこから、いま問題の電通のスポーツ介入が始まっている。
女子ツアーの東レPPOを30年にわたって運営した野地俊夫は往年の「東芝オーレックスジャズフェスティバル」のディレクターでライオネル・ハンプトンらを連れてきた。
「グンゼワールドテニス」を仕切った進藤重行は映画人で、アンジェイ・ワイダの助監督……。協会はショー的要素を演出できなかったから、テニスに無縁の文化人が紹介したのだ。バブル後、代理店が割り込んで競技より経済が優先され、プロスポーツのショー的側面が欠落した。大坂への不満もそのあたりに根差している。