大谷のWBC起用法めぐる栗山監督とエ軍のとてつもない温度差…GM「制限ない」は口先だけ
栗山監督のプランは全試合DHで先発も
そこへいくと、侍ジャパンの栗山監督は何が何でも勝ちたい。12月に米国で行われたウインターミーティングでは、日本の“顔”である大谷の起用法に関して「基本的に(投打の)両方できないかというのがベースにある」とコメント。さる放送関係者がこう言った。
「栗山監督は原則、大谷を全試合、DHで起用するつもりです。そのうえでWBCで導入される大谷ルール、つまり投手を降板した後もDHとして打席に立つことができる規則をフル活用したい考えをもっています。現時点の構想で、大谷はダルビッシュ有(36=パドレス)、山本由伸(24=オリックス)、佐々木朗希(21=ロッテ)と並ぶ4人の先発要員のうちのひとり。つまり毎試合DHとして起用しながら、なおかつ先発としても使うつもりなのです」
投げる試合で打席にも立つ「リアル二刀流」は負担が大きい。エンゼルスが登板日はもちろん、登板日前後もDHとして出場することを実質的に解禁したのは昨季から。その昨季にしても登板日前後、DHとして試合に出場したのは数えるほど。いかに負担が大きいかが分かる。
初登板は初回降板もあり得る投球数に制限したいエンゼルスに対し、栗山監督は大谷を「リアル二刀流」として、しかもフル活用したいプランを描いている。
■主導権は所属球団
今月6日の会見で、報道陣から大谷の起用法を聞かれた栗山監督は「契約している球団との確認が必要」と言葉を選んだ。「(投打の)両方できないかなというのがベースにある」という発言から“トーンダウン”したのは、すでにエンゼルスから大谷の起用法に関して“横やり”が入っているとみるべきだ。
栗山監督はメジャーリーガーの合流時期、実戦出場のタイミングなどについて、MLBや各メジャー球団と話し合うと言っているものの、最大の目玉ともいうべき大谷の起用に関して、エンゼルスとの温度差は現時点でとてつもなく大きいと言わざるを得ない。
今後、エンゼルスとは話し合いによって妥協点を探っていくことになるのだろうが、侍ジャパンは基本的に選手を所属球団から借りる立場。主導権は、あくまでも選手の給料を支払う球団側にあるだけに、どこまで歩み寄ってもらえるか注目だ。