著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大准教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部准教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

WBCチェコ代表は大リーグ機構“世界戦略”の重要な成果 「野球の普及」の大義ようやく実を結ぶ

公開日: 更新日:

「米国内での関心が低い大会をなぜ、開き続けるのか?」と、WBC開催の意義を問われるたびに、コミッショナーをはじめ大リーグ機構の関係者は「野球の普及のため」と答えてきた。

 背後には、世界の野球の頂点である大リーグが主催して権威ある国際大会を開催すれば、野球の受容の途上にある国も大会への進出を目指して普及が進み、野球そのものの裾野が広がる、という見立てがあった。

【写真】この記事の関連写真を見る(21枚)

 だが、こうした見方が楽観的であるという批判は今も根強い。

■中国では傍流

 例えば第1回大会以来連続して出場する中国は、数の上ではWBCの常連国ながら、野球の普及の度合いは遅い。世界最大の人口を誇り、経済力の向上も著しい中国は、機構にとって魅力的な市場だった。2007年に北京、上海、広州、天津、無錫の5つの都市の小学校で、野球を普及するための取り組み“MLB Play Ball”を開始したのも、発展性のある市場を開拓するとともに、新たな選手の供給源を確保したいという機構の思惑があったからだ。それだけにWBCに毎回出場することは、中国における野球人気の定着に寄与するはずだった。しかし、実際には野球は依然として傍流のスポーツであり、バスケットボールやサッカーに比べれば、人気も競技人口も低いままである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動