エンゼルスGMの貪欲な功名心…大谷翔平「放出」情報を巧みに操る“叩き上げ”の腹の中
いまから1年近く前のこと。米メディアは、早々とプレーオフ争いから脱落したエンゼルスが大谷翔平(28)を放出すると盛んに書き立てた。
大谷がFAを取得するまで1年半。獲得する球団はその間、投打で突出する二刀流のスター選手を保有できるわけで、エンゼルスにとっては大谷を最も高く売れるタイミングだったからだ。
結果として大谷はエンゼルスに残留したものの、「実際、大谷のトレード話はあった。放出に積極的だったのは、ペリー・ミナシアンGMです」と現地特派員のひとりがこう続ける。
■成立寸前だったトレード
「2023年からレンドン(33)に4年約212億8000万円、トラウト(31)には8年約397億円の契約が残っている。とてもじゃないが大谷と500億円とも800億円ともいわれる大型契約を結べるとは思えない。だったら、昨年のトレード期限までに大谷を放出、見返りに素質ある若手を数人獲得した方がプラスという判断が働いたのでしょう。商談はトレード期限の日本時間8月3日ギリギリまで行われたとか。相手はヤンキースともメッツともドジャースともいわれ、4、5人のプロスペクト(若手有望株)と交換という条件で、トレードは成立寸前までいった。けれども、最終的にモレノ・オーナーがクビを縦に振らずに実現しなかったと聞きました」
大谷は今季、WBCで日本の優勝に貢献してMVPを獲得すると、開幕後も大暴れ。日本時間13日のレンジャーズ戦では19、20号を放ち、ア・リーグの本塁打王争いの単独トップに。投げては30球団中3位の102奪三振。13日に発表されたオールスター(7月12日=シアトル)ファン投票第1回中間発表ではDH部門トップはもちろんのこと、ア・リーグ最多得票だった。大リーグ公式サイトが13日に実施した、記者47人による第2回MVP模擬投票で1位票23票を集め、5月上旬の1回目に続いてトップに立った。
実力、人気ともメジャーを代表する選手だけに、今年も8月のトレードデッドラインに向けて周辺が騒がしくなるのは確実。それまでにエンゼルスがプレーオフの圏外に沈めばもちろん、進出の可能性が残っていたとしても、それで放出の可能性が消えるわけではない。何が何でもプレーオフを目指すチームは、たとえ後半戦だけでも投打でトップクラスの実力を発揮する大谷は是が非でも欲しいピース。エンゼルスにとっても、昨年ほどの見返りは期待できないが、トラウトとレンドンの大型契約が球団の財政を逼迫する状況に変わりはないからだ。「目の前にニンジンをぶら下げられたら、ミナシアンGMが再び腰を浮かせる可能性は高い」と前出の特派員はみている。