大谷翔平の“新ボス”ロバーツ監督「グラウンドではこんな人」 不安は短期決戦での采配ベタ
大谷翔平(29)のドジャースを率いるデーブ・ロバーツ監督(51)はMLB史上初の日本生まれの指揮官だ。
1972年、本土復帰直後の沖縄県那覇市でアフリカ系アメリカ人で元米国海兵隊の父と沖縄出身の母の間に生まれた。
父の転勤に伴い、翌73年にカリフォルニア州サンディエゴに移住。名門UCLA卒業後の94年、タイガースにドラフト28巡目で入団した。
2016年からチームを率いて5連覇を含む7度の地区優勝を果たし、20年には32年ぶりの世界一に導いた。就任1年目には故障者が続出しながら地区制覇を果たした手腕を評価され、ナ・リーグ最優秀監督に選ばれている。
今月上旬のウインターミーティング(テネシー州ナッシュビル)での会見では、大谷の代理人のネズ・バレロ氏から“箝口令”を敷かれていたにもかかわらず、「私は正直でありたい」と、大谷と交渉したことを暴露して注目を集めた。
現役時代は内外野を守れるユーティリティーとして複数の球団を渡り歩くなど、苦労したこともあり、選手のモチベーションを高めるのに長けている。
野球文化学会会長で名城大准教授の鈴村裕輔氏がこう言う。
「コミュニケーション力が高く常に選手に寄り添う姿勢はチーム内で高く評価されています。ドジャースタジアムの監督室のドアを常に開放し、日頃から選手の声に耳を傾けている。選手のプライドをくすぐるのもうまく、ここ数年は故障に苦しんだカーショーを常にエースと位置付け、故障明けの復帰戦は必ず大事な試合に設定してきた。才能がありながらも伸び悩んでいる選手を適材適所で起用するなど、控え選手の扱いもうまい」
■温厚な性格はグラウンドで豹変
クラブハウスや監督室では温厚な人柄として通っているが、グラウンドでは厳しい一面ものぞかせる。特に投手起用については容赦がなく、先発陣の負担を軽減する球団の方針もあって、球数が100球に達する以前、または球数に余裕があってもスパッと5回で降板させるのは珍しくない。
大リーグに詳しいスポーツライターの友成那智氏が「合理的な考え方の持ち主であると同時に、試合中は非情に徹するところもあります」とこう続ける。
「瞬間湯沸かし器のように感情を爆発させることもあり、投球内容が不甲斐ないと、マウンドで投手からボールを奪うように取り上げたりもする。さすがに大谷に厳しく当たることはないでしょうが、ロバーツ監督は大谷の起用法には、神経質にならざるを得ないと思います。エンゼルス時代のように出場の可否を本人の意思に任せることはしないでしょう。二刀流に復帰する再来年以降はイニングや球数は他の投手以上に厳格に管理して、夏場に調子を崩すようなら、強制的に休養を取らせるのではないか。そうなれば、大谷がこだわる投打の規定数到達(162イニング、502打席)も難しくなるかもしれません。結果的に二刀流の寿命が延びる可能性はありますが……」