青学大・太田蒼生が東京マラソンで魅せた「実業団選手には決して真似できない」果敢な走りっぷり
それにしても、途中棄権ではあったが、太田の積極策は、これまでの日本選手には見られなかった勇気ある走りではなかったか。
「初マラソンで2時間2分台の記録が狙えるペースを経験したことは財産になったでしょうが」と、ある実業団関係者がこう言う。
「太田君は大学生ですから、このレースで失敗しても失うものはない。でも、実業団の選手は所属する会社だけでなく、家族なども背負っています。第2グループでも1キロ2分55~56秒、第3グループで2分57~58秒のペース設定でしたから、仮に第3集団に付いても日本記録を狙えた。そこに気温の上昇やライバルとの駆け引きなどもあり、日本人トップで日本記録を更新すればベストというプランで臨む。世界陸上の代表が懸かっているレースですから、実業団選手にギャンブルはできませんよ」
太田は主催者を通じ「今回のレースは低体温と低血糖により途中で離脱してしまいましたが、前半から自分のやりたいようにレースを運び、世界のレベルを知れて良い経験ができました。オリンピックで金メダルを取るために一歩踏み出せたと思います。次はもっと長く世界と戦い、3年後にはオリンピックで勝ちます」とコメントした。