「戦争のできる国へ――安倍政権の正体」斎藤貴男著
■安倍政権はヤンキー化した反知性主義
安倍政権が露骨に手に入れようとする「普通の国」の資格。それが「集団的自衛権」だ。
「3本の矢」とならんで安倍政権が好んで繰り出すキーワードが「積極的平和主義」。いかにも平和路線ですと言っているようでいながら、実はその意味は「積極的に平和を維持・構築する」こと。つまり同盟国(=アメリカ)の安全保障策には「同盟国」として「積極的に」協力し、軍事化路線を突っ走ることなのだ。また近ごろはやりの「正戦」(ジャスト・ウォー=正しい戦争)概念に照らすと、自国や同盟国の防衛のための戦争は「正戦ではない戦争ではない」ということになる。つまり「してもいい戦争」がある、日本もそうやって初めて「普通の国」になるという理屈なのだ。
ジャーナリストの著者は精神科医・斎藤環氏の説を引いて、最近の日本社会のネトウヨ(ネット右翼)現象などは「保守」ではなく「ヤンキー化」ではないかという。「本来の『保守』が教養主義であるとするならば、現政権ははっきりと『反知性主義』」だからだ。ゆえに「クソッタレな社会」は変わらない、変えられないという気分の中で「家族」や「絆」を頼りに「気合を入れてアゲアゲで生きていくほかない」という社会。まるで暴走族のケンカのように戦争しようとしているわけだ。