第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞した藤崎翔氏に聞く

公開日: 更新日:

 元教師という人物像を描いたのは、自身の環境もあったという。

「母方の祖父母がふたりとも教師でした。早くに亡くなりましたけど、子供のときは『お堅い人で面白くないなぁ』なんて思っていたんですよね。でも祖父母と歩いていると、方々から『先生!!』って声をかけられたり、お中元やお歳暮が大量に送られてきたり。元教え子にかなり慕われていましたから、そのあたりは多少投影したかな」

 人格者の素性が次第に暴かれ、疑念と不穏な空気が広がっていく描写がある。これが実に怖い。

「『正義』って怖いですよね。以前、武田鉄矢さんがテレビで『自分が絶対正義だと思ってるヤツがいちばんタチ悪い』とおっしゃっていて、まさにそうだなと思ったんです。たった一言の誤解で評価や信念が覆っていく、そんな人間の危うさや集団心理の恐ろしさも楽しんでいただければ」

 謎解きの巧みな展開を求められるのがミステリーだが、そこだけにこだわっていない。それぞれの登場人物の生臭い人間ドラマもユーモラスかつ緻密に描いているのが特徴だ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる