「つげ義春 夢と旅の世界」つげ義春・山下裕二・戌井昭人・東村アキコ著

公開日: 更新日:

 漫画界の鬼才、つげ義春氏のデビュー60周年を記念して刊行されたビジュアルブック。作品原画の他、本人へのロングインタビューや各界の著名人のエッセーなど、立体的構成でその独特の作品世界を案内する。

 つげ氏が日本美術史上で一番好きな作家だと語る美術史家の山下氏によると、1968年に発表された代表作のひとつ「ねじ式」は、「史上初めて夢をダイレクトにマンガに反映し、しかも周到な脚色を加えた作品」だという。

 その「ねじ式」とともに、夢を忠実に再現した79年発表の「外のふくらみ」のカラー原画を収録。「つげ作品に通底する、その制作の根幹を支えている『夢』」を切り口に、作品の魅力に迫る。

「ねじ式」について作者自身は以前、「締め切りに追われてただ夢をそのまま描いただけ」と謙遜していたそうだが、インタビューでは「どんな芸術でも、最終的に意味を排除するのが目標だと思っているんですよ。なので意味のない夢を下敷きにした一連の夢ものを描いたり夢日記をつけたりしていたんです」と作品について語っている。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  2. 2

    小泉進次郎氏「コメ大臣」就任で露呈…妻・滝川クリステルの致命的な“同性ウケ”の悪さ

  3. 3

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  4. 4

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  5. 5

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  1. 6

    元横綱白鵬「相撲協会退職報道」で露呈したスカスカの人望…現状は《同じ一門からもかばう声なし》

  2. 7

    関西の無名大学が快進撃! 10年で「定員390人→1400人超」と規模拡大のワケ

  3. 8

    相撲は横綱だけにあらず…次期大関はアラサー三役陣「霧・栄・若」か、若手有望株「青・桜」か?

  4. 9

    「進次郎構文」コメ担当大臣就任で早くも炸裂…農水省職員「君は改革派? 保守派?」と聞かれ困惑

  5. 10

    “虫の王国”夢洲の生態系を大阪万博が破壊した…蚊に似たユスリカ大量発生の理由