「TV大人の視聴」吉田潮著

公開日: 更新日:

「週刊新潮」の人気連載「TVふうーん録」が初めて単行本化した。連載では番組や作品ごとにスポットをあてているが、書籍化にあたりテーマを人物に変更。取り上げられているのはタレントから政治家、一般人まで様々だ。

 40代の著者はいわゆる「テレビっ子世代」で、今も時間の許す限りテレビにかじりついているという。ドラマやバラエティー、情報番組にいたるまで主要番組をほぼ視聴。本書で「何でもアリの『テレビ黄金期』を観て育ったものですから、今の優等生的な、空気を読みすぎるテレビにイチャモンつけたくもなります」と断りが入っているように、テレビに感じる「もやもや」「イライラ」を遠慮なく斬っている。

 国民的ドラマに化けた「あまちゃん」「半沢直樹」を始めとした大ヒット作はもちろんのこと、見逃しがちな深夜枠もフォロー。リアルタイムで見た人も見ていない人も、思わずニヤリとする内容だ。

 テレビ評の味わいもさることながら、作品ごとに添えられたイラストもいい。何とも言えない味のあるタッチが脳裏に残り、後を引き、癖になる。「心は媚びない特上ビッチ ナイスキャスト」というキャプションでイラスト化されたタレントがその後、週刊誌でスキャンダラスな私生活を暴露されたり…。芸能人の濃密な内面は、ドラマやカメラというフィルターを通しても、にじみ出てしまうのかもしれない。そういう視点で読んでも面白い。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    日本相撲協会・八角理事長に聞く 貴景勝はなぜ横綱になれない? 貴乃花の元弟子だから?

  2. 2

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3

    キムタクが迫られる「主役の座」からの退場…盟友からも“二番手”降格を提言される異例の事態

  4. 4

    神田正輝「旅サラダ」“有終の美”前に拒絶態度は変わらず…沙也加さん元カレ舞台中止で復帰は絶望的

  5. 5

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  1. 6

    「朝だ!生です旅サラダ」司会27年半ついに降板…神田正輝が描く引退後の“終活”プラン

  2. 7

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 8

    『SHOGUN 将軍』快挙に木村拓哉の悔恨…『未来への10カウント』出演で大チャンスを棒に

  4. 9

    「SHOGUN 将軍」エミー賞18冠で真田広之が渡辺謙をついに凌駕 「英語力」「謙虚さ」が生んだ逆転劇

  5. 10

    大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ