カジノ合法化は日本経済も国民生活も蝕む!

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 2013年12月に国会に提出された“カジノ推進法案”。14年秋の臨時国会で成立確実とみられていたが、根強い反対世論が影響し、あえなく廃案となった。

 しかし、同年の総選挙では自民党や維新の党がカジノ合法化に意欲を見せ、現在も議論が繰り広げられている。果たして、刑法で禁じられたギャンブルを提供するカジノを、合法化する必要があるのか。鳥畑与一著「カジノ幻想」(KKベストセラーズ 840円+税)では、カジノ推進派が主張してきたメリットを徹底検証。治安悪化やギャンブル依存症だけではない、経済的な側面の危うさも明らかにしている。

 カジノ推進法案で示されているのは、テーマパークや会議場、ショッピングモール、そしてホテルなどにカジノを含んだ「ⅠR」と呼ばれる複合施設だ。大人から子供まで家族みんなが楽しめるアミューズメント施設であり、ビジネスマンのアフターコンベンションとして大人の遊びも提供でき、国際観光客の来日にもひと役買う。その経済的波及効果は、最大で4・8兆円と試算されているという。

 景気低迷の続く日本にとっては“魔法の杖”のように思えるカジノだが、そこには推進派が仕掛けたトリックが潜んでいると本書。IRという響きのよい言葉を掲げるのはカジノ隠しをするためであり、日本がモデルとするシンガポール型IRでは、総面積の5%に満たないカジノが、IR収益の8割を稼いでいるという。つまり、カジノの高収益があってこそ成り立つのがIRであり、その収益は客の“負け”によって得られるもの。年間1兆円のカジノ収益を見込む場合、その陰には年間10万円負ける客が1000万人必要ということで、ギャンブラーとなる国民の資産は吸い取られ続けることになる。

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