「タテの二股」で地方を切り捨てた小泉政権
「『共倒れ』社会を超えて」野崎泰伸著
政治は「排除と包摂」から成る。前者は同質的な者を集めて統治を安定させること、後者は異質な存在を混在させて活性化を図ること。
たとえば障害者支援などを充実させることは異質の包摂によって社会の道徳的紐帯を高めることだ。
しかし、実際には社会保障費の増大などで世間は包摂を忌避。しわ寄せは当人とその支援に当たる周囲におよび、結果として「共倒れ」が生まれてしまう。弱き者に過酷な「犠牲の構造」を乗り越えるための倫理学者の考察。
(筑摩書房 1500円+税)