職業外交官の姿勢が問われている

公開日: 更新日:

 食文化では、日本人と韓国人は、過去30~40年の間に接近しているにもかかわらず、政治的には距離が一層拡大している。その原因の一つが韓国外交の要路に日本専門家がいなくなったからであると武藤氏は見ている。

 それだから、慰安婦問題が紛糾するようになったと武藤氏は考える。

〈当時(引用者注※村山富市政権時代に「アジア女性基金」で慰安婦問題の解決を模索した時期)の韓国当局には担当者に日本通が多く、おかげで日本政府はこのような瀬踏みをして、ぎりぎりの可能性を探ることができたのですが、残念ながら現在の韓国外交部では日本通は主流から外されており、このような水面下の交渉が難しい状況にあります〉

 安倍晋三首相と朴槿惠大統領の波長は合わない。こういうときには、職業外交官が互いに相手国のためにリスクを負いながら歩み寄りを図らなくてはならないのであるが、本書を読むと韓国の外交官にその姿勢が欠如していることがよくわかる。もっとも日本の外務官僚にしても五十歩百歩の違いしかないのだと思う。日韓関係の将来は暗い。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる