「連鶴」梶よう子著
大政奉還から1カ月後の早朝、桑名藩の上屋敷に住む丈太郎を、2年前に横浜の商家に修業に出た弟の栄之助が訪ねてきた。栄之助によると坂本龍馬が京で暗殺され、現場には以前会ったときに丈太郎が贈った連鶴が落ちていたという。連鶴は、1枚の紙から何羽もの鶴を折りだす桑名の名物だ。同じ日、丈太郎は勘定頭の父から自分に帰国の命が下ったことを伝えられる。戻れば京の守護任務に駆り出されることだろう。栄之助は藩を捨て、妻子を連れて身を隠すよう丈太郎を説得する。丈太郎は取り合わないが、数日後、なぜか栄之助が武家姿で歩いていたという噂を耳にする。
幕末の動乱を生きる兄弟を描いた時代長編。
(祥伝社 1800円+税)