「文学者掃苔録図書館」大塚英良著

公開日: 更新日:

「掃苔」とは墓参りのこと。著者が250人の作家、詩人の墓をめぐり、彼らの作品に込めた渾身の思いを受け止めた20年の記録。

「蟹工船」の作者、小林多喜二は特高の拷問で殺された。老母は全身腫れあがった息子の遺骸を抱いて、「みんなのためもう一度立たねか」と叫んだ。築地小劇場で労農葬として行われるはずだった葬儀は、特高の妨害で中止となった。

 詩人、劇作家の寺山修司は「墓は建ててほしくない。私の墓は、私の言葉であれば、充分」と言ったが、死後、母の手で高尾の山ふところに墓が建てられた。今は相克を繰り返した母と一緒に眠っている。(原書房 2800円+税)



【連載】今日の新刊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    中居正広氏《ジャニーと似てる》白髪姿で再注目!50代が20代に性加害で結婚匂わせのおぞましさ

  2. 2

    中居正広氏は元フジテレビ女性アナへの“性暴力”で引退…元TOKIO山口達也氏「何もしないなら帰れ」との違い

  3. 3

    佐藤健は9年越しの“不倫示談”バラされトバッチリ…広末涼子所属事務所の完全否定から一転

  4. 4

    広末涼子容疑者は看護師に暴行で逮捕…心理学者・富田隆氏が分析する「奇行」のウラ

  5. 5

    パワハラ告発されたJ1町田は黒田剛監督もクラブも四方八方敵だらけ…新たな「告発」待ったなしか?

  1. 6

    矢沢永吉「大切なお知らせ」は引退か新たな挑戦か…浮上するミック・ジャガーとの“点と線” 

  2. 7

    中日井上監督を悩ます「25歳の代打屋」ブライト健太の起用法…「スタメンでは使いにくい」の指摘も

  3. 8

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 9

    広末涼子容疑者「きもちくしてくれて」不倫騒動から2年弱の逮捕劇…前夫が懸念していた“心が壊れるとき”

  5. 10

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは