「曽呂利!」谷津矢車著
堺の町中に秀吉を揶揄する落首が広まった。蜂須賀小六が捕まえた犯人は鞘師の曽呂利新左衛門。この男の作った鞘は刀を引き抜いても鞘走りの音がしないという評判だった。秀吉は新左衛門を打ち首にしようとしたが、細川幽斎のとりなしで、秀吉を納得させるような鞘を作ったら命を助けるということに。出来上がった鞘を抜いてみると、大きな鞘走りの音が! 激怒する秀吉に新左衛門は、闇討ちに使うなら音がしないほうがいいが、秀吉が刀を抜くなら大きい音がしたほうがいいと言い抜けた。その上、自分を側に置いてくれと言う。
御伽衆として仕えながら秀吉を手玉に取った男を描く時代小説。(実業之日本社 1600円+税)