老後を考える本特集
「老いの希望論」森村誠一著
「悪魔の飽食」「人間の証明」の著者は1933年生まれ。80代になって得た知見を披露する。人は長生きすれば成熟するとは限らない。敬遠される老人とは、時間の流れに身をまかせるだけで、悪しき慣習にとらわれ社会性を失っている。一方、尊敬され好かれる老人とは、世話好きだけど世話をしすぎない、物知りだけど知識を振り回さない謙虚な人。それには、どうしたらいいのか。とにかく仲間に入ること、俳句や短歌の会に入るのがいいし、ボケ防止に有効なのは自転車・勝負事・語学。旅行は海外より国内、午前1時までには床につく等々、具体的なアドバイスが満載。9条ならぬ「高齢者憲法 救条」も共感できる。
〈高齢者は、自由と未知数(可能性)を誠実に追求し、「老い」を恐れることは永遠に放棄する。理念(ビジョン)と社会性を保持し、未知数の永遠の狩人として日々を楽しむ。いつか来た悪道はくり返さない〉(徳間書店 670円+税)