こんな人が私の診療室を訪れたら、迷わず認知療法を
「安倍さんとホンネで話した700時間」青山和弘著
あるとき知り合いのジャーナリストに言われた。「安倍政権を批判するなら、きちんと相手を知らなければダメだよ」。そして薦められたのがこの本。著者は日本テレビの現役解説委員、安保法が参院審議中に総理自ら出演した情報番組で「廃案になっては困るんです」とコメントし、あまりに中立性を欠いていると話題になったこともあった。
当然のごとく、本書も各章の終わりこそ「自分の意見に反する人の意見も尊重して」などと安倍総理への“注文”らしき一文で締められているが、ほかは全面的に総理の発言をそのまままとめてみました、といったふうとなっている。仮にもジャーナリストの書いた本がこれか、などツッコミたくなる気持ちを抑えて読み進めるまでもなく、冒頭の章に決定的なことが書かれている。
すなわち「安倍さんは自分たちが『抑圧された少数派なのだ』という感覚を持って」おり、「この感覚は、その後の安倍さんの行動原理を読み解くうえで、重要な鍵」になるというのだ。もちろん、その感覚がはじめて芽生えたのは「本当に優しいおじいさん」岸信介へのバッシングを目の当たりにしたときだ。