読む人を物語世界に誘う長編小説特集

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「バタフライ」平山瑞穂著

 13歳の尾岸七海は母が再婚した男にレイプされていた。ある日、チャットで〈義父を殺してくれる人募集〉とつぶやいた。

 それに応えたのは同い年で不登校山添拓。拓は七海の依頼に従って、クスノキの根元に呪いの文字を書いた紙を埋めようとしたが、どれがクスノキか分からない。教えてくれたのは元教師の島薗元治。元治は教師時代、教師や同級生の「殺害計画書」を作成していた生徒に拓が似ているのが気になって、親切に教えてあげたのだ。そして、恋人に冷たくされたネットカフェ難民の永淵亨は、偶然手に入れたエアガンでバスジャックをするのだが……。

 交差するはずがなかったそれぞれの不遇な人生が、偶然出会った一人一人の小さな行為でほどけてゆく群像ミステリー。(幻冬舎 1500円+税)

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