「原節子の真実」石井妙子氏
そんな彼女にも、生涯一度だけの恋があった。本書には、自分が女優であるばかりに成就せず、相手の将来まで変えてしまった悲恋についても詳細につづられている。
「映画業界という男社会の中で流されることなく生き続け、引退や独身、そして隠棲も自分の意思通りに貫き通した彼女は、本当に強い女性だったと思います。その生きざまを、現代の男性にも、女性にも知ってもらいたいですね」
(新潮社 1600円+税)
▽いしい・たえこ 1969年神奈川県生まれ。白百合女子大学卒、同大学院修士課程修了。綿密な取材により伝説の銀座マダムの生涯を浮き彫りにした「おそめ」は、新潮ドキュメント賞や大宅壮一ノンフィクション賞などの最終候補作となった。著書に「日本の血脈」「満映とわたし」など。