一向に打開の兆しのない「沖縄問題」の実態と真実に迫る
「だれが沖縄を殺すのか」ロバート・D・エルドリッヂ著
著者は阪大で長く政治学を教えたのち、沖縄駐留の米海兵隊に勤務。外交政策部の文官として働いた。この経験を機に著者の立場は「革新系の考えを持つ学者」から百八十度変化。いまでは沖縄問題をめぐる保守派論客の一人だ。
「日米同盟護持」「普天間基地必要論」などの内容は先に出た「オキナワ論」の繰り返しだが、本書は「琉球新報」「沖縄タイムス」批判がより鮮明。地元の大学とメディアの癒着が「反基地、反軍、反中央政府」という2紙の論調を支えているという。保守派では一番論理的な著者だが、新著のたびに少しずつ論理が粗くなっているのが気がかり。(PHP研究所 800円+税)