「靖国と千鳥ケ淵」伊藤智永著

公開日: 更新日:

 陸軍省高級副官・美山要蔵の評伝。美山は近年、A級戦犯合祀の黒幕と叩かれた人物。その理由は、東条英機元首相から戦後の靖国のあり方について密命を授けられたことと、靖国神社を所管する陸軍省の高級副官の職責として臨時大招魂祭を挙行し、戦後の合祀再開への布石を打ったとされるからだ。

 しかし、著者は綿密な取材から、戦後の靖国合祀について手続きの仕組みを整えたのは美山だったが、A級戦犯合祀が実際に行われるに至った決断や意図については美山の周知するところではないという。後年、美山は靖国と対決し千鳥ケ淵墓苑の創設と維持に残りの人生をささげた。美山の幼少期からその人生をたどり、A級戦犯合祀とは何かを考える。(講談社 1000円+税)


【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末