「九十三歳の関ケ原弓大将大島光義」近衛龍春著
永禄3(1560)年、信長率いる織田軍が美濃の墨俣に出陣。迎え撃つ美濃の齋藤家の重臣長井隼人正道利に仕える弓の名手・大島甚六光義は、2町(約208メートル)先の織田兵を次々と射倒す。信長を狙った渾身の一矢は、本陣旗に命中し、織田軍は退却する。
7年後、今度は秀吉が指揮を執る織田軍が齋藤家の居館である稲葉山城を襲ってきた。還暦の光義も戦場に立ち、弓を放ち続けるが、ついに落城。戦場で敵兵に囲まれた光義だが、現れた小一郎(秀吉の弟)にその弓の腕前を買われ、秀吉に仕えるよう誘われる。そして、誘いを断り所領に戻った光義を信長の家臣・大田信定が訪ねてくる――。
93歳まで戦場に立った実在の武将の生涯を描く時代小説。(新潮社 1700円+税)