「遠い唇」北村薫著

公開日: 更新日:

 向井さんは、作家の私が新人のころから親しくしている編集者。新著が出ることになり向井さんの出版社を訪ねた私は、数年前に亡くなった彼女の夫の話を聞く。入院中の夫に頼まれ、和菓子の「黄身しぐれ」と「葛ざくら」を届けたら、夫は包み紙の裏に「しりとりや 駅に かな」と書いて、「駅に」と「かな」の間に黄身しぐれを置いたという。俳句をたしなむ向井さんへの謎かけらしい。

「駅に君 時雨かな」と読み解いた私に向井さんは、高校時代の夫との出会いを語りだす。しかし、字数も合わず、「しりとりや」の意味も分からず、俳句にもなっていない。(「しりとり」)

 ミステリーの名手が人の心にわだかまる「暗号」を解いていく短編。(KADOKAWA 1400円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末