「骸骨考」養老孟司著
ヨーロッパの国々のお墓を訪ねる巡礼シリーズ。第2弾の本書では、南欧3カ国を歩く。
著者は、日本とは異なる欧州の遺骨の扱いや墓のありように、かねてその身体観の違いに着目してきたという。以来30年以上、考え続けてきたことを念頭に、イタリア・ローマのアッピア街道筋にあるローマ時代の古い陵墓を皮切りに、天井や壁などが人骨で飾られているサンタ・マリア・デッラ・コンチェツィオーネ・ディ・カプチーニ教会の納骨堂や、火薬庫事故の犠牲者をまつるポルトガルのカンポ・マヨールの納骨堂などを巡る。
物言わぬ骸骨と対峙しながら、なぜこうした施設が造られ、骨を並べるのか、思索を深める。(新潮社 1500円+税)