忍者のことならなんでも分かる公式ガイドブック
「The NINJA-忍者ってナンジャ!?-公式ブック」「The NINJA-忍者ってナンジャ!?-」実行委員会監修
今や世界中の人々を魅了する「忍者」だが、その実態を伝える資料は乏しく、いまだに多くの謎を秘めている。本書は、最新の研究や科学的アプローチによって、その真実の姿に迫りながら、忍者の知恵や知識を学ぶ企画展(1月に終了)の公式カタログ。
忍者に関する最古の記述は「太平記」。建武5(1338)年に武将の高師直が忍者を使って石清水八幡宮に火を放ったとあり、南北朝時代から忍者を職業にする者がいたことが分かっている。
忍者がもっとも活躍したのが戦国時代だ。戦国武将たちは「乱波(北条氏直)」「鉢屋衆(尼子経久)」「饗談(織田信長)」などと呼ばれる専属の忍者集団を抱えていた。そんなルーツから、延宝4(1676)年に伊賀忍者の末裔が記したとされる忍術書「万川集海」などの古文書や、時に超人のように描かれる忍者の身体能力の秘密などを紹介・解説。
何といっても、読者が一番興味を引かれるのは、忍者の技や彼らが使った道具ではなかろうか。
お馴染みの手裏剣や、敵の屋敷の戸を開くために用いられた「坪錐」や「しころ」などの「開器」、潜入時に塀や壁を登るのに使う「忍び熊手」や「鉤縄」と呼ばれる「登器」などの実物も公開。
そのひとつ、忍者が使う「忍び刀」は、一般的な刀に比べ刀身が短めで、高所に上る際に踏み台として使えるよう鍔部分が広く、さやについている下緒も長い。この長い下緒は、真っ暗闇の中で敵と対峙したときや、やりの相手と戦うときなどさまざまな場面で活躍するそうだ。
さらにサバイバル術から精神鍛錬の方法まで、子どもと楽しめる構成で、一部は英訳もされているので、訪日外国人へのお土産にしても喜ばれるに違いない。(KADOKAWA 1800円+税)