世界を吹き荒れる大衆扇動の嵐 「ポピュリズム」とは何か

公開日: 更新日:

「ポピュリズムとは何か」ヤン=ヴェルナー・ミュラー著 板橋拓己訳

「自分たちだけが真正な人民を代表する」という主張をかたくなに繰り返すポピュリスト。だから自分が支配する行政府は人民によって支配されており、反対する者はすべて人民に歯向かう存在だ。そうトランプは主張する。しかも自分は人民の真正な意思の執行者に過ぎないからこそ、自分は「いかなる政治的責任も負わない」と彼らは考えているのだ。

 冒頭の日本版序文でこう喝破するのはドイツ生まれのアメリカの政治学者。欧米双方を知る立場で「リベラル」と「ポピュリズム」は欧米でまったく違う意味だという。米国で「リベラル」は「社会民主主義」の別名だが、欧州では「多元主義の尊重」や「均衡と抑制」、つまり中道派の理念を指す。

 また米国の「ポピュリズム」は社会民主主義の「非妥協的なパターン」だが、欧州では「反エスタブリッシュメント」になる。要は基本概念からして混乱しているわけで、そこから整理して議論を展開してくれるのはありがたい。(岩波書店 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    僕の理想の指導者は岡田彰布さん…「野村監督になんと言われようと絶対に一軍に上げたる!」

  4. 4

    永野芽郁は大河とラジオは先手を打つように辞退したが…今のところ「謹慎」の発表がない理由

  5. 5

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  1. 6

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  2. 7

    威圧的指導に選手反発、脱走者まで…新体操強化本部長パワハラ指導の根源はロシア依存

  3. 8

    ガーシー氏“暴露”…元アイドルらが王族らに買われる闇オーディション「サウジ案件」を業界人語る

  4. 9

    綱とり大の里の変貌ぶりに周囲もビックリ!歴代最速、所要13場所での横綱昇進が見えてきた

  5. 10

    内野聖陽が見せる父親の背中…15年ぶり主演ドラマ「PJ」は《パワハラ》《愛情》《ホームドラマ》の「ちゃんぽん」だ