「人生散歩術」岡崎武志著

公開日: 更新日:

 吉田健一の文学におけるテーマのひとつが「時間」だ。吉田の「時をたたせる為に」の中に「この忙しいというのは時間がないことである。或はそれを意味するものと受け取ることに疑いをもつものは少なくて時間がなくなってもまだ人間が忙しくしていられるかどうか考えようともしないらしい」という文がある。吉田は「時間」というものの意味を徹底的に考え抜いて文章に書く。吉田の文は速読に適さず、「意味の堂々巡りのように見えて、くねくねと論理の散歩道をさまよいながら、いつか広く明るい野に出る」、それが吉田健一を「読む」ということだと著者は言う。

 井伏鱒二、高田渡らの作品を通して、読むことの楽しさを教えてくれる一冊。

(芸術新聞社 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる