「人間の値打ち」鎌田實著
格差社会や上司のパワハラなどで、「自分には生きている値打ちがない」と思わされている人や、その結果、うつ病や自殺に追い込まれる若者たちが増えている。本書は、地域医療、そして被災地での支援活動に携わってきた著者が、「人間の値打ち」とは何かについて考察した生き方エッセー。
高齢者を財政のお荷物扱いする政治家の発言や、税金の無駄だと障がい者を殺害した犯人、その犯行に同調する人々など、根源的な人間の価値が軽んじられている現状を憂う。一方で都会の生活に嫌気が差して家族とともに八ケ岳の山麓に移住して便利屋を始めた男性や、傾きかけた企業を立て直したリーダーなど、出会ったさまざまな人物たちの生き方を紹介しながら人間の値打ちを決める7つの要素について語る。
(集英社 740円+税)