「下町ロケットゴースト」池井戸潤著

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 佃航平が率いる佃製作所のもとに、主要取引先のヤマタニから新型エンジン契約を白紙撤回するとの連絡が入るところから物語が始まる。

 新社長は農機具のエンジンは「動けばいい」と考えており、佃製作所のエンジンを一部高級機向けに限定したいというのだ。対策に乗りだす航平だったが、頼りにしている経理の殿村の父親が倒れ、殿村は一時実家に戻ることに。

 そんな状況に追い打ちをかけるように、帝国重工の宇宙開発事業部門が縮小されるという話が耳に入る。ロケットエンジンのバルブシステムを納入していた佃製作所にとって、それはさらなる窮地を意味した。果たして、航平は起死回生策を打ち出せるのか……。

 大人気の「下町ロケット」シリーズの最新刊。トランスミッションへの挑戦によって経営の危機を乗り越えようとする航平が、ベンチャー企業と手を組む方針を打ち出す中、経営者としての判断が問われる難しい局面も描かれる。第3作となる本書を原作としたTVドラマが10月に放送されるほか、秋には続編「下町ロケット ヤタガラス」も発刊予定。

 立て続けに楽しみたくなること必至だ。

(小学館 1500円+税)

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