「明治銀座異変」滝沢志郎著

公開日: 更新日:

 明治16年、銀座の煉瓦街を走っていた鉄道馬車の御者が、何者かに狙撃される事件が起こった。

 事務所で銃声を聞いた開化日報社の記者・片桐栄一郎は、スクープ狙いで慌てて馬車を追いかけた。片桐の下で探訪員の見習いをしている加藤直が、暴走していた馬車のブレーキを引き、なんとか馬車を止めたが、御者は意識喪失。看護の心得のある英語を話す乗客の女が救急手当てを施して病院に搬送したものの、「青い目の子……」という謎の言葉を残して、結局御者は息を引き取った。片桐と直はその言葉の真相を調べるうち、外国人と攘夷派の武士との間のいざこざが多かった大政奉還の前年に、ある外国人が何者かに殺された事件に突き当たるのだが……。

 去年「明治乙女物語」で第24回松本清張賞を受賞してデビューした注目の新人作家による、本格歴史ミステリー。幕末から明治にかけての世相を織り込みながら、思いもかけない過去の歴史が明らかになるストーリーに引き込まれる。

(文藝春秋 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元グラドルだけじゃない!国民民主党・玉木雄一郎代表の政治生命を握る「もう一人の女」

  2. 2

    深田恭子「浮気破局」の深層…自らマリー・アントワネット生まれ変わり説も唱える“お姫様”気質

  3. 3

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”

  4. 4

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  5. 5

    東原亜希は「離婚しません」と堂々発言…佐々木希、仲間由紀恵ら“サレ妻”が不倫夫を捨てなかったワケ

  1. 6

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    “令和の米騒動”は収束も…専門家が断言「コメを安く買える時代」が終わったワケ

  4. 9

    長澤まさみ&綾瀬はるか"共演NG説"を根底から覆す三谷幸喜監督の証言 2人をつないだ「ハンバーガー」

  5. 10

    東原亜希は"再構築"アピールも…井上康生の冴えぬ顔に心配される「夫婦関係」