「快眠は作れる」 村井美月著
人間は、基本的に、昼は覚醒し、夜は眠くなるという生体リズムを繰り返している。これは、体内時計によってコントロールされているメカニズムだ。
かつて体内時計は、脳にのみ存在すると考えられていた。しかし今では、心臓や肝臓、そして皮膚に至るまで、さまざまな臓器に時を刻む時計遺伝子があることが発見されている。そして、脳の“親時計”が各臓器の“子時計”を指揮して、全身の生理機能をコントロールしていることが分かってきたという。
この体内時計に狂いが生じると、夜に眠れなくなり、眠ったつもりでも快眠が得られない。また、自律神経の乱れを招き、日中の集中力を欠いたり、イライラがたまったり、うつを引き起こすリスクも高まる。本書では、体内時計を整えて質の良い睡眠を得るために最適な習慣を紹介。
例えば、朝起きたら太陽の光を浴びること。朝の光が網膜から脳に伝わると、睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌を抑制するスイッチが入り、親時計がリセットされて正しく動き始めるためだ。一方、子時計をリセットするには朝食を食べることが最適。食事により、各臓器に刺激が伝わると、子時計のリセットとともに親時計との同調も起こり、全身の機能がうまく回り始めるという。
日中に、両腕を前後に連続で振るようなリズム運動を行うこともお勧めだ。これにより、メラトニンの原料であるセロトニンが活発に作られ、夜に眠りにつきやすくなる。また、カフェインの覚醒効果は4~7時間ほど続くため、コーヒーや紅茶などの摂取は16時ごろまででやめるのが無難だ。
健康への近道は、体内時計に即した生活を送り、質の良い睡眠を得ることと心得よう。
(KADOKAWA 840円+税)