「歯周病は1日で治せる!」清水智幸著
歯周病は高齢者の病気などと思っていたら大間違い。日本では20代で約7割、30~50代では8割もの人が歯周病にかかっているといわれる。
きちんと歯を磨いているという人でも、想像以上の磨き残しがあるもの。だからこそ、国民病と呼べるほど歯周病が蔓延しているのだと、歯科医師である著者は言う。
自身のクリニックで調査したところ、歯間ブラシを併用している人の口の中でも30%程度の磨き残しがあり、歯ブラシのみの人では60~70%も磨き残しの部分があったという。
しかし、言い換えれば、正しく歯磨きできるだけで、歯周病は高い確率で予防できるということ。本書では、1本の歯につき、表面・裏面・右側面・左側面・噛み合わせの平らな面の5つを磨く「ごめんブラッシング」の方法を解説している。
まずは、最低でも月に1度、歯の“染め出し”を行うこと。赤い染め出し液を口に含むと、歯周病の原因となるプラークが赤く染まるというものだ。染め出し液は薬局や通販で簡単に買える。定期的に染め出しを行い、自分の磨き残しの癖を“見える化”しよう。
歯周病で歯を失っても、人工の歯を埋め込むインプラントという道もある。しかし近年、骨にまで炎症が達するインプラント周囲炎という疾患が問題になっている。原因はさまざまだが、まずは歯周病を完治させ、インプラントを入れた後でも正しい歯磨きを続けることが不可欠だ。
プラークを除去する最新機器を用い、中等度までの歯周病ならば1日で治療が完了する最新の治療法も紹介。歯周病は、糖尿病や心臓疾患、脳血管疾患のリスクを高めることも分かってきた。“病は口から”であることを肝に銘じておきたい。
(文藝春秋 1200円+税)