「戦神」赤神諒著

公開日: 更新日:

 大友軍の総大将・戸次親家は、勝てるはずだった明見城の攻防戦で味方の裏切りに遭い、主君大友親治の次男で戸次家の養子になった五郎九郎を失った。主君の怒りはおさまらず、その責を負って妻・お梅の命を差し出すことになったのだが、お梅は身重の身だった。 せめて我が子の顔を見てから死なせてほしいと懇願したものの通らず、お梅は子どもを助けるために自ら腹を切って、子猫ほどの大きさの子の命を救い出す。

 鬼の子と呼ばれ、八幡丸と名付けられたその子は、波乱に満ちた人生のスタートから生き延び、立派な武士へと成長していく。

 やがて新たな主君となった大友義鑑のもと、戸次鑑連として戦の才能をめきめきと発揮することになるのだが……。

 2017年「義と愛と」(「大友二階崩れ」に改題)で第9回日経小説大賞を受賞してデビューした著者の最新作。日本一の武将といわれた戸次鑑連(のちの立花道雪)の過酷な運命と愛の姿が強烈な印象を残す。デビュー作はもちろん、鑑連に仕官した柴田治右衛門を描いた「大友の聖将」やデビュー作の続編「大友落月記」と併せて読むのもお勧め。

(角川春樹事務所 1800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    メッキ剥がれた石丸旋風…「女こども」発言に批判殺到!選挙中に実像を封印した大手メディアの罪

  2. 2

    一門親方衆が口を揃える大の里の“問題” 「まずは稽古」「そのためにも稽古」「まだまだ足りない稽古」

  3. 3

    都知事選敗北の蓮舫氏が苦しい胸中を吐露 「水に落ちた犬は打て」とばかり叩くテレビ報道の醜悪

  4. 4

    東国原英夫氏は大絶賛から手のひら返し…石丸伸二氏"バッシング"を安芸高田市長時代からの支持者はどう見る?

  5. 5

    都知事選落選の蓮舫氏を「集団いじめ」…TVメディアの執拗なバッシングはいつまで続く

  1. 6

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  3. 8

    ソフトバンク「格差トレード」断行の真意 高卒ドラ3を放出、29歳育成選手を獲ったワケ

  4. 9

    “卓球の女王”石川佳純をどう育てたのか…父親の公久さん「怒ったことは一度もありません」

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方