「法の雨」下村敦史著

公開日: 更新日:

 裁判での逆転無罪は年間20件程度なのに、1人で15件もの無罪判決を出している「無罪病判事」嘉瀬清一。この日は病院内での殺人事件の法廷だった。

 入院患者の10歳の少女が、看護師の水島勇作が寝ている患者の顔に枕を押し当てているのを見たと証言した。弁護士が少女に、水島を見た時間を尋ねると「10時15分」と答えた。だが、その前日や前々日に水島を見た時間は答えられない。嘉瀬は「被告人は無罪」と言い渡す。

 その直後、体が横倒しになり、法壇から転げ落ちた。嘉瀬は救急車で搬送されたが、宣告された判決は有効だった。その後、無罪となった看護師が殺されるという事件が発生する。

 法廷の「正義」を描く問題作。

(徳間書店 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  4. 4

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  5. 5

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  1. 6

    おすぎの次はマツコ? 視聴者からは以前から指摘も…「膝に座らされて」フジ元アナ長谷川豊氏の恨み節

  2. 7

    大阪万博を追いかけるジャーナリストが一刀両断「アホな連中が仕切るからおかしなことになっている」

  3. 8

    NHK新朝ドラ「あんぱん」第5回での“タイトル回収”に視聴者歓喜! 橋本環奈「おむすび」は何回目だった?

  4. 9

    歌い続けてくれた事実に感激して初めて泣いた

  5. 10

    フジ第三者委が踏み込んだ“日枝天皇”と安倍元首相の蜜月関係…国葬特番の現場からも「編成権侵害」の声が