「女たちの本能寺」楠戸義昭著
「本能寺の変」によって運命が激変した信長と光秀の一族の女性たちにスポットライトを当てた歴史読み物。
信長の正室の濃姫は、小説やドラマでは本能寺で明智勢に果敢に挑む姿が描かれている。しかし、一次史料にはそうした記録はなく、変が起きた天正10年には既に死んでいたようだと指摘する。
一方、光秀の正室・煕子も変の6年前に死んでいたことを示す墓があり、光秀の死の直後に坂本城と運命を共にしたという「明智軍記」の記述と矛盾する。そうした正室の謎に始まり、いとこ同士だった光秀と濃姫、信長が寵愛(ちょうあい)した光秀の妹・御妻木、さらに江戸時代に大奥に君臨した春日局と光秀の関係まで。
明らかになった新真実を盛り込みながら、信長・光秀ゆかりの7人の女性たちの実像を描き、本能寺の変の本質に迫る。
(祥伝社 860円+税)