「今夜」小野寺史宜著
超ミニのスカートをはいた女を盗撮した男に、笠間玄吾は「50万だな」と言った。玄吾とバイトで知り合った直井蓮児は、隣に立っていただけで恐喝の片棒をかつがされる羽目に。玄吾は2万円渡そうとしたが、蓮児は断って、錦糸町で一人酒を飲んで帰った。
蓮児はボクサーで、デビュー戦の相手は瀬尾唯斗だった。アマで高校3冠を取ったエリートだったが、判定勝ちで勝った。だが、この戦いをゴールだと思った蓮児は燃え尽きて、次の試合で負けた。蓮児との戦いを単なる通過点とみていた瀬尾は、その後の試合で勝って日本タイトルを防衛した。(「直井蓮児の夜」)
ちょっとした「悪」に手を染めた4人の男女が繰り広げる物語4編。
(新潮社 1550円+税)