ウィズコロナ時代の生き方本特集

公開日: 更新日:

「これからの哲学入門」岸見一郎著

 新型コロナウイルスは世の中を一変させてしまった。もう、パンデミック前のあの生活が完全に戻るとは思えない。コロナによって、現代人は働き方や人間関係はもちろん、人生に対する価値観まで、変化せざるを得ない状況に追い込まれてしまった。そんな不安な時代をどう生きるべきか、進路を指し示してくれる本を紹介する。



 ウィズコロナ、そしてポストコロナをどう生きるべきかを説いた指南書。

 コロナ禍の今、先が見えないことに多くの人が不安を抱いている。しかし、元に戻るまで待っているわけにはいかない。不安から目をそらすのではなく、直視して生きていかなければならないと著者はいう。

 アウシュビッツ収容所では、ある年のクリスマスから新年の間にかつてないほど多くの人が亡くなった。原因は過酷な労働や伝染病ではなく、クリスマスには家に帰れるだろうと希望を抱いた人々が、何も起こらなかったことに力尽きたからだという。根拠のない楽観をするのではなく、最悪の事態を想定することが必要だと説く。

 自らの体験や、古今東西の哲学者の言葉を読み解きながら、「苦しみのさなかで幸福であることができるのか」を考える。

(幻冬舎 1200円+税)

「良心をもたない人たちへの対処法」マーサ・スタウト著、秋山勝訳

 私たちは、日々、見知らぬ人と出会い、社会生活を営んでいる。それを可能にしているのは、人とのつながりや良心だ。大人は幼い子供に優しく接するものとみなされ、誰もが約束を果たすものと考える。そうしなければ身の安全を保つことも、ビジネスも成り立たない。

 しかし、世の中には平気で嘘をつき、涙で同情を誘い、追いつめられると逆上する人たちがいる。彼らは自分にしか興味がなく、他人の人生を壊しても意に介さない。こうした「良心を持たない人」=ソシオパス(反社会パーソナリティー障害)が実は身近に大勢いるという。

 ソシオパスの子供や配偶者、親権を巡る法廷、そして職場での執拗な攻撃やネット上の中傷など、実例をあげながら、その対処法を解説したテキスト。あなたを苦しめている人の正体が分かる。

(草思社 1800円+税)

「ほっといて欲しいけど、ひとりはいや。」ダンシングスネイル著 生田美保訳

 人生の大部分を「他人の顔色をうかがい、壊れた自尊心を回復させることに費やしてきた」という著者。一方で、人間関係からしか得られない満足感を常に渇望しているという著者がたどりついた人間関係対処法を公開する。

 意に沿わない人間関係を整理する「人間関係ミニマリスト」への変身を提案。人間関係のリトマス紙として有効なのが、相手のお誘いや提案を「面倒くさい」と感じるかどうか、自分の正直な気持ちに耳を傾けてみることだという。ほかにも、「愛しているから」という理由で別れを切り出すのは愛という仮面をかぶった暴力、誰にとってもいい人になろうとするより、自分自身とうまく付き合うなど。

 恋愛や職場、友人など、さまざまな人間関係をデトックスして自分に合った生き方を見つけるためのヒントが満載。

(CCCメディアハウス 1500円+税)

「『自分』を殺すな、武器にしろ」瀬戸和信著

 人生を充実させ、自分をもっと輝かせるために、「弱みを克服しようと努力するのではなく、自分の“才能のタネ”を自覚して強みに育て上げる」方法を説いた自己啓発本。

 多くの外資系企業で世界のリーダーの仕事ぶりを間近で見た著者は、彼らが自身の強みと弱みを正確に把握していることに気づいたという。日本人は「弱み」は克服するものと教えられる。一方の彼らは、自分ができないことに対しては、克服ではなく「補う」「借りる」という考え方をする。弱いところを伸ばそうと努力しても、ほとんどの場合、目に見えるような成長は期待できないからだ。

「自分がイライラした瞬間を見逃さないこと」など、自分の才能のタネを見つける意外な方法など、自分では見えていない才能を可視化し、強みに育て、活用する術を伝授する。

(朝日新聞出版 1400円+税)

「DIE WITH ZERO」ビル・パーキンス著、児島修訳

 現代社会は、勤勉に働き、喜びを先送りすることを美徳とするイソップ寓話のアリ的な生き方の価値が持ち上げられすぎている。アリはいつ遊べるのだろう? アリとキリギリスの生き方の中間にある最適なバランスを見つけ、豊かに生きる方法を伝授する生き方指南書。

 人生の一番の仕事は「思い出づくり」。だからこそ、時間が限られた人生を最大限に楽しむ方法は「経験(それも、ポジティブな)」を最大化することだと著者はいう。しかし、多くの人が手遅れになるまでやりたいことを我慢し、ただただ金を節約している。大切なのは自分が何をすれば幸せになるかを知り、その経験に惜しまず金を使うことだ。

 書名通り、やりたいことをやり遂げ「ゼロで死ぬ」ための方法を詳しく解説。定年までなど待っていられない。

(ダイヤモンド社 1700円+税)

【連載】ザッツエンターテインメント

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末