「思想をよむ、人をよむ、時代をよむ。」石川九楊著

公開日: 更新日:

 明治の政治家、大久保利通の書「為政清明(いせいせいめい)」を、書家の石川は「構築性を失わない飽くなきうねり」と表現する。この「うねり」の書きぶりは、西郷隆盛ら明治維新期の政治家に見られる特徴だという。西郷の「うねり」が永続革命を求めるように横に広がろうとするのに対し、大久保の書は新国家建設指向に対応して秩序を求めて縦に伸びようとする。現在の政治家や市民は「清明」を切実に望んでいるだろうか。

 五・一五事件で暗殺された犬養毅の書「敏於事而慎於言」(事に敏にして言を慎む)は切れ味のよい書きぶりである。最近は言を慎むより本質を隠匿した言葉が氾濫している。

 さまざまな書に表現されたものを書家が読み解く。

(ミネルヴァ書房 2750円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2

    野呂佳代が出るドラマに《ハズレなし》?「エンジェルフライト」古沢良太脚本は“家康”より“アネゴ”がハマる

  3. 3

    岡田有希子さん衝撃の死から38年…所属事務所社長が語っていた「日記風ノートに刻まれた真相」

  4. 4

    「アンメット」のせいで医療ドラマを見る目が厳しい? 二宮和也「ブラックペアン2」も《期待外れ》の声が…

  5. 5

    ロッテ佐々木朗希にまさかの「重症説」…抹消から1カ月音沙汰ナシで飛び交うさまざまな声

  1. 6

    【特別対談】南野陽子×松尾潔(3)亡き岡田有希子との思い出、「秋からも、そばにいて」制作秘話

  2. 7

    「鬼」と化しも憎まれない 村井美樹の生真面目なひたむきさ

  3. 8

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 9

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  5. 10

    松本若菜「西園寺さん」既視感満載でも好評なワケ “フジ月9”目黒蓮と松村北斗《旧ジャニがパパ役》対決の行方