「思想をよむ、人をよむ、時代をよむ。」石川九楊著

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 明治の政治家、大久保利通の書「為政清明(いせいせいめい)」を、書家の石川は「構築性を失わない飽くなきうねり」と表現する。この「うねり」の書きぶりは、西郷隆盛ら明治維新期の政治家に見られる特徴だという。西郷の「うねり」が永続革命を求めるように横に広がろうとするのに対し、大久保の書は新国家建設指向に対応して秩序を求めて縦に伸びようとする。現在の政治家や市民は「清明」を切実に望んでいるだろうか。

 五・一五事件で暗殺された犬養毅の書「敏於事而慎於言」(事に敏にして言を慎む)は切れ味のよい書きぶりである。最近は言を慎むより本質を隠匿した言葉が氾濫している。

 さまざまな書に表現されたものを書家が読み解く。

(ミネルヴァ書房 2750円)

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