「開城賭博」山田正紀著

公開日: 更新日:

 慶応4年3月、官軍の江戸総攻撃の直前、薩摩屋敷で勝海舟と西郷隆盛の会談が行われた。「江戸城明け渡し」の条件として「徳川慶喜は備前藩にお預け」などが挙げられていた。備前藩に預けては、慶喜が打ち首や切腹などの処分を受ける恐れがある。徳川家としては受け入れがたい。西郷も、新政府が討議して出した条件を自分の一存で撤回するわけにはいかない。堂々巡りの果てに、勝が提案した。

「西郷さん、ここは1つ、チンチロリンで決めることにしねえかい」〈表題作〉

 他に、明智光秀が本能寺を襲撃する前に食べたのは三河うどんか讃岐うどんかでもめる「恋と、うどんの、本能寺」など、奇妙な設定で書かれた短編6編。

(光文社 2090円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷に懸念される「エポックメーキングの反動」…イチロー、カブレラもポストシーズンで苦しんだ

  2. 2

    やす子の激走で「24時間テレビ」は“大成功”のはずが…若い視聴者からソッポで日テレ大慌て

  3. 3

    3Aでもボロボロ…藤浪晋太郎の活路を開くのは阪神復帰か? 日本ハム、オリックス移籍か

  4. 4

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5

    阿部巨人が《もっともビビる》阪神投手の復帰でCS戦々恐々…Gナインに根付く苦手意識

  1. 6

    阪神・大山悠輔を絶不調に変えた根本原因…良かれと取り組んだオフの肉体改造が裏目

  2. 7

    兵庫パワハラ知事やコバホークも? 東大→官僚→政治家は“ピカピカの経歴”にあらず旧いタイプ

  3. 8

    やす子「24時間テレビ」での好感度上昇は諸刃の剣…早くも“イジリにくい芸人”になる懸念

  4. 9

    キムタクが迫られる「主役の座」からの退場…盟友からも“二番手”降格を提言される異例の事態

  5. 10

    神田正輝「旅サラダ」“有終の美”前に拒絶態度は変わらず…沙也加さん元カレ舞台中止で復帰は絶望的