「シングルマザー、その後」黒川祥子著

公開日: 更新日:

 女性の貧困は、実は国の制度によって仕組まれたものだという。始まりは1985年、皮肉にも男女雇用機会均等法が成立した年だ。

 この年、国は専業主婦が保険金を納めなくても年金がもらえるよう、国民年金における「第3号被保険者」制度を創設。さらに専業主婦やパート労働を行う妻たちへの優遇策が次々と立てられた。その背景にあるのは当時の自民党政権が、女性は男性に扶養されながら家事・育児・介護を行うという「日本型福祉社会」を目指していたからだという。

 そこには未婚や離婚によるシングル女性の存在は一切、想定されていない。さらに同年には「児童扶養手当」制度も改正し、母子世帯への給付削減も行われた。

 こうして用意周到に仕組まれた制度の中で、必死に働いても貧困にあえぐ当事者らの現実を伝える。

(集英社 1012円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    朝ドラ「あんぱん」教官役の瀧内公美には脱ぎまくった過去…今クールドラマ出演者たちのプチ情報

  2. 2

    佐々木朗希「中5日登板志願」のウラにマイナー降格への怯え…ごまかし投球はまだまだ続く

  3. 3

    中井貴一の“困り芸”は匠の技だが…「続・続・最後から二番目の恋」ファンが唱える《微妙な違和感》の正体

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希「負傷者リスト入り」待ったなし…中5日登板やはり大失敗、投手コーチとの関係も微妙

  5. 5

    加賀まりこ「鈴さん」人気沸騰中!小泉今日子と《そっくり》の母親役でフジ月9“夢の共演”を待望する声

  1. 6

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  2. 7

    河合優実「あんぱん」でも“主役食い”!《リアル北島マヤ》《令和の山口百恵》が朝ドラヒロインになる日

  3. 8

    永野芽郁「文春砲第2弾」で窮地…生き残る道は“悪女への路線変更”か?

  4. 9

    Kōki,主演「女神降臨」大爆死で木村拓哉がついに"登場"も リベンジ作品候補は「教場」か「マスカレード」シリーズか

  5. 10

    渋谷区と世田谷区がマイナ保険証と資格確認書の「2枚持ち」認める…自治体の謀反がいよいよ始まった