「選んだ孤独はよい孤独」山内マリコ著
29歳のヨシオは、失業中だが、幼馴染みからの誘いは断れない。その日も実家の焼き鳥屋で働くゆーちんが車で迎えに来て、母親からもらった金を懐に、ボウリングへと出かける。車内にはいつものメンバーが揃っていた。
いじられキャラのヨシオは、10代の頃は悩んで抵抗もしたが、今はその立場を仕方なく受け入れている。リーダー格のゆーちんは皆で飲食店を開業しようと言うが、その話が出るとみな黙り込んでしまう。ボウリング場で隣のレーンにいたのは、中学の同級生・智子とその家族だった。修学旅行中に智子と意気投合したことがあるヨシオは、彼女と結婚していれば、今とは別の人生が送れたのではないかと夢想する。(「男子は街から出ない」)
不器用に生きる男たちを主人公にした作品集。
(河出書房新社 748円)