「奪還」小杉健治著
弁護士の鶴見を頼って有原が訪ねてきた。10日前、有原の妻・恵利が自宅で他殺体で見つかり、警察は夫婦仲の悪かった夫の犯行とみているようだ。無罪を主張する有原によると、その日は帰宅すると妻が留守だったので外出し、犯行時刻には駅前の居酒屋にいたという。しかし、居酒屋の店員は有原のことを覚えていないと警察に話しているらしい。
有原の話を信じ、動き出した鶴見だが、状況は圧倒的に不利。そんな中、有原が居酒屋で相席になった男と言葉を交わしていたことを思い出す。男のポケットからアイヌの口琴ムックリがのぞいていたので思わず声をかけたらしい。鶴見はその男を捜し出すが……。
妻殺しの容疑者に仕立てられた男を救うため奮闘する弁護士を主人公に描く長編ミステリー。
(集英社 770円)