「名探偵と海の悪魔」スチュアート・タートン著 三角和代訳

公開日: 更新日:

 17世紀前半、当時バタヴィアと呼ばれていたジャカルタからアムステルダム行きの船・ザーンダム号が出航しようとしているところから物語は始まる。船に乗り込むのは、東インド会社バタヴィア総監のヤン・ハーン、その夫人のサラや娘のリアら。さらに名探偵として名を馳せていた通称サミーことサミュエル・ピップスが、身に覚えのない罪で囚人として一緒に護送されることになっていた。ところが出航間際に包帯で顔を覆った男が現れ、「この船は呪われている、乗客は破滅を迎えるだろう」という言葉を残して、炎に包まれ謎の死を遂げる。危険を察知し調査する必要性を感じたサミーだったが、捕らわれの身で自由に動き回ることができない。そこで、サミーの助手を務めるアレントと、この航海に不安を覚えていた総監夫人サラに捜査を託すのだが……。

 デビュー作「イヴリン嬢は七回殺される」でコスタ賞最優秀新人賞を受賞し、同作が日本でも週刊文春ミステリーベスト10で2位となった著者による最新作。大海原に囲まれた密室である船を舞台に繰り広げられる決死の謎解きから目が離せない。

(文藝春秋 2750円)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    無教養キムタクまたも露呈…ラジオで「故・西田敏行さんは虹の橋を渡った」と発言し物議

  2. 2

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  3. 3

    吉川ひなのだけじゃない! カネ、洗脳…芸能界“毒親”伝説

  4. 4

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  5. 5

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    木村拓哉"失言3連発"で「地上波から消滅」危機…スポンサーがヒヤヒヤする危なっかしい言動

  3. 8

    Rソックス3A上沢直之に巨人が食いつく…本人はメジャー挑戦続行を明言せず

  4. 9

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 10

    立花孝志氏『家から出てこいよ』演説にソックリと指摘…大阪市長時代の橋下徹氏「TM演説」の中身と顛末