「浪華燃ゆ」伊東潤著
「浪華燃ゆ」伊東潤著
文政元(1818)年ごろの大坂は一里四方に42万人が住む過密都市だった。町奉行所に勤務する26歳の大塩平八郎は、世のため、人のために役立ちたいと考えていた。
幼い頃父母を亡くし、祖父に育てられたが、与力として実績を上げ、五段飛びで目安役兼証文役に就く。平八郎はいずれ塾を開いて陽明学を教えたいと考えていた。秩序を重んじる朱子学と違い、陽明学は革新的傾向が強く、幕府に煙たがられていた。
天保4年、3年続きの不作から飢饉が起こる。平八郎は役人と結託して儲けている富商に米を供出させ、飢餓に苦しむ人々を救おうとするが……。
「太虚」の心境で「理」に基づく世直しを目指した男の生涯を描く歴史小説。
(講談社 1980円)