「文身」岩井圭也著

公開日: 更新日:

「文身」岩井圭也著

 明日美は、家に届いた分厚い封筒の差出人の名に動揺する。亡父・庸一の名で届いた封筒が、庸一の葬儀の1週間後に発送されたものだったからだ。

 明日美は、世間から最後の文士と称されてきた庸一を毛嫌いしてきた。この30年、会うこともなかった。明日美が小学6年のとき、母が不審死。警察は自殺と断定したが、後日、庸一は母を殺したことを認めるかのような私小説を発表。その小説のせいで殺人犯の娘とされ、人生を台無しにされたのだ。封筒に入っていたのは「文身」と題された未発表の小説だった。

 文身では、庸一の作品はすべて約60年前に自殺したことになっている弟の堅次が執筆しており、庸一は弟が描いた作品通りの人生を歩んできたことが明かされていた。

 注目の作家による新感覚長編ミステリー。

(祥伝社 858円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  2. 2

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  3. 3

    「かなり時代錯誤な」と発言したフジ渡辺和洋アナに「どの口が!」の声 コンパニオンと職場で“ゲス不倫”の過去

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    「よしもと中堅芸人」がオンカジ書類送検で大量離脱…“一番もったいない”と関係者が嘆く芸人は?

  1. 6

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  2. 7

    入場まで2時間待ち!大阪万博テストランを視察した地元市議が惨状訴える…協会はメディア取材認めず

  3. 8

    米国で国産米が5キロ3000円で売られているナゾ…備蓄米放出後も店頭在庫は枯渇状態なのに

  4. 9

    うつ病で参議員を3カ月で辞職…水道橋博士さんが語るノンビリ銭湯生活と政治への関心

  5. 10

    巨人本拠地3連敗の裏に「頭脳流出」…投手陣が不安視していた開幕前からの懸念が現実に