「ケアしケアされ、生きていく」竹端寛著
「ケアしケアされ、生きていく」竹端寛著
ケアは、「弱者のための特別な営み」ととられがちだが、誰もが周囲からの膨大な「お世話」を受け育ったように、身の回りのそこかしこにケアは存在している。
大学教員の著者によると、今の大学生はすごく生きづらそうだという。努力すれば報われると言われ続け、一方で周囲の目を気にせずにしたいことをするのは「わがままだ」と思い、必死に取り繕っている。それは弱肉強食的な現代社会に順応するにはもってこいの生き方だが、そこには自分のありのままを大切にする「自分へのケア」という大切なことが欠けたままだという。
各自の唯一無二性を大切にしながら「他者の他者性」を尊重し、つながっていく「ケア中心の社会」への転換の方法を模索する社会問題提起の書。
(筑摩書房 946円)