「山窩奇談」三角寛著

公開日: 更新日:

「山窩奇談」三角寛著

 新聞記者でもあった著者は、かつて日本各地に存在した漂泊民「サンカ」を取材。本書は、戦前から昭和40年代にかけて発表されたその作品群を再編集した増補版だ。

 著者は、サンカのことなら何でも知っているという国八老人の存在を知り、探し出して訪ねる。老人はかつて警視庁の刑事の元で働く「諜者」を務めていたという。老人がサンカと親戚づきあいをするようになったきっかけのエピソードから、老人が駆け出しの諜者だった明治35年に、目黒で8人が殺された強盗殺人事件の犯人をサンカの人々の協力で逮捕に至った経緯などを聞き書き。

 ほかにも、サンカ社会で警察役の「手下(つながり)」を務めていた直吉の話など、さまざまなエピソードからその知られざる実態を浮き彫りにする。

(河出書房新社 990円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    藤川阪神のドラ1指名は高卒投手か…最速150キロ超で《潜在能力の高さは世代ピカイチ》

  2. 2

    中日・根尾昂に投打で「限界説」…一軍復帰登板の大炎上で突きつけられた厳しい現実

  3. 3

    谷原章介長男の芸能界挑戦で改めて感じる器の大きさ…実父・いしだ壱成と共演の可能性も

  4. 4

    目黒蓮“おバカキャラ封印”でますます上がる俳優業のハードル 「何をやってもキムタク」化の不安

  5. 5

    小泉孝太郎を他者第一にした "師匠"いかりや長介の教え

  1. 6

    阪神岡田監督は連覇達成でも「解任」だった…背景に《阪神電鉄への人事権「大政奉還」》

  2. 7

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  3. 8

    失敗を失敗でなくしてくれた…ふかわりょうの恩人に対する深い愛情

  4. 9

    森七菜の移籍トラブルと重なる伊藤健太郎の不義理退所…チラつくステージママの影

  5. 10

    昇格決定的の中日・井上二軍監督は立浪監督と何から何まで“正反対”《明るさと社交性のある熱い男》