「世界のねこことわざ」noritamami著
「世界のねこことわざ」noritamami著
安易に猫の俳句は作らないようにしている。句会でもなるべく猫の句に点を入れないようにしている。猫はずるい。存在自体に俳味があって、どう作ってもなんとなくいい俳句になる。だから戒めている。
なのに先日の句会で「卯月曇猫にふみふみされてをり」という句が出て、つい選んでしまった。ふみふみは反則だ。ふみふみされたら、スルーできない。
世の中に山ほどある猫本にも安易に手を出さないようにしているのだが。あぁ、これはダメだ。猫のうえにわたしの大好物である「世界の言語」と「ことわざ」が乗っている。まるでウニ・イクラ・カニ丼だ。スルーできるわけがない!
すぐれた猫にはすぐれたネズミ(好敵手の意味。フランス)、塀の上に立つ猫(物事はどっちに転ぶかわからない、の意味。インド)など世界各地の猫が登場することわざが59紹介されている。すべてに猫の写真が添えられているのもうれしいが、それに増してテンションが上がるのが「豆知識」欄。
イタリアでは猫のくしゃみが聞けると縁起がいいとか、猫好きのことをタイ語ではタートメーオ(直訳すると「猫の奴隷」)といい、韓国ではニャンチプサと呼ぶ(ニャンは鳴き声、チプサは執事)なんて情報が載っていてにんまり。世界のあらゆる場所で、人間どもは猫さんの一挙手一投足を見て喜んでいる。
似た意味のことわざを並べて愛でるのも、ことわざファンのお楽しみ。「鶏口牛後」はロシアでは「ライオンの尾より猫の頭になるほうがいい」で、モンゴルでは「虎の尻尾より蚊の頭になれ」だそう。か、蚊の頭!? ずいぶん小さいね……。
(ハーパーコリンズ・ジャパン 1540円)